毎年文句言いつつも見ている令和ライダーですが、今年も仮面ライダーギーツが終了。
今回は耐えられなくなって途中2ヶ月くらい脱落していた時期もありましたが、なんだかんだで復帰して最後まで見る運びとなりました。
ということで、ギーツの良かった点と悪かった点をまとめていきます。
目次
仮面ライダーギーツの良かった点
途中脱落する時期があったレベルだったわりには良い点はちゃんといくつか見つけられましたね。
1年通してメインキャラクターが成長していくドラマをやろうとしていた、飽きさせない工夫もしようとしていた
全然登場人物の成長とかが見られないしキャラクター同士の交流も激薄だったゼロワンとかと比べると、ギーツは登場人物たちの成長を1年通して描こうとしていましたね。
1話ごとに衝撃展開とかを起こして話題性は狙いつつも、ある程度地に足が着いた番組にしようとしていたと思いました。
実際うまくできていたかはともかくとして、努力しようとしていたことは感じられるのでそこは認めるみたいな感じですな。(すげぇ上からな言い方でアレだが)
あと2ヶ月弱ごとにゲームの形式やメンバーが変わるみたいなギーツ特有のシステムがあって、メインメンバーはいつもの4人で固定とはいえ一応飽きさせない工夫が感じられて良かったと思います。
視聴者参加型番組
ギーツで私が一番見ていて面白いと感じたのはデザスターの時期の「参加ライダーの中に「デザスター」という裏切り者がいてそれが誰なのかは視聴者にも明かされない」というやつ。
ギーツは主役でありながらそれまでに本編内で散々人を騙してきたのでこいつがデザスターでも全然おかしくないし、他のキャラも疑おうと思えば疑えるのでマジで誰が犯人かわからないのが面白かった。
デザスター編に突入する際に実は今までのゲームも全部未来人が楽しむ娯楽番組的なものだったことが明らかになるわけですが、視聴者も番組内の未来人と同じような立場で一緒に終着点がわからない戦いの模様を見ることになるというシステムがかなり目新しかったですな。
まぁ、誰がデザスターかわかったら速攻で次の展開になってこの部分ぶん投げられて祢音と他のメンツの仲が一時的に悪くなったりすることもなかったのは残念でしたけども。
夏の劇場版もプリキュア映画方式採用によりこの要素がだいぶ濃くなっていて良かったです。
アクションシーンは多分令和最高レベルで満足度が高めだった
アクションは多分令和ライダーで一番良かったんじゃないですかね?というか平成込みでも毎回の戦闘シーンにおける飽きさせない工夫みたいな部分は最上位クラスかもしれません。
敵も味方もCGなど駆使しつつ斬新かつ派手な戦いを毎週のように展開していて、かなり見応えあったと思います。
味方にいきなり攻撃してきたかと思ったら連携技だったみたいな意外かつ面白い演出がしばしばあったり。
ただギーツは敵が基本戦闘員のみという行くとこまで行った仕様で、序盤は正直その絵面の貧相さがキツくていかにアクションシーンで奇抜なことやってようがあんまりしっくり来てなかったが。(不満点でもこの辺の話書きます)
あと序盤はバトルシーンが本編の大半を占めるというかなり変わった構成で、ちょっと戦闘長すぎて飽きはしてたけど…、なんかおもちゃはけっこう売れたっぽいし夏映画見に行ったら子どもたちにギーツバカウケしてたので、そこは総合的には問題なかったのかもしれないな。
中盤以降は敵ライダーや幹部怪人との戦いが多くなったので、その辺の不満も薄れました。(ギーツX9と戦闘員1匹が長々と戦ったりたまに厳しかったが)
とくにブジンソードタイクーンとバッファの戦闘における、壁に追い詰められて殴打されるバッファ→リボルブチェンジして頭を移動させて避けつつ足技で反撃みたいなくだりは凄いと思いましたね。
バイクは乗る回数例によって少なめでしたが、たまに乗ると活躍するボーナスアイテムみたいな扱いだったのでバイク自体はEDで毎回乗って印象付けてたセイバー以上に印象に残ったと思います。
販促は史上最高レベルに頑張ってた
ギーツって基本形態のマグナムブーストがろくに出ないんですけど、どうせ売れるであろう基本形態をあえて「たまに出る強化モード」的な扱いにしつつ色々なバックルをギーツ自身が使いまくって販促してたのはなかなか目新しかったですね。
いつになったらマグナムブースト出るんだよみたいなモヤモヤ感はありましたけど。
サブライダーのバックルも出てきたらギーツが一旦使うので、全部が主人公であるギーツのアイテムでもあることになる結果女性ライダーや弱いサブライダーのアイテムでも男児に売れやすくなるように頑張ってた。
また敵ライダーとかゲストライダーが後半になっても序盤のどうでもいい武器バックルを使って登場することで、できるだけ多くのバックルの存在を忘れさせないようにしてましたね。
ギーツの強化フォームも終盤までわりとまんべんなく使い続けてたし。フィーバーもバッファが使ってたし。
去年のリバイスも序盤の派生フォームは極力終盤まで使い続けて頑張ってましたが、今年は「これ全然出ないし意味あった?」みたいなフォームがほとんどなかったですね。おもちゃ売る番組としては完璧に近かった気がする。
仮面ライダーギーツの不満点
志は認めるんだけど実際の出来栄えはね…みたいなことが多かった作品でした。
ここまでの令和ライダー内だとセイバーと同じようなイメージです。
とにかく話が微妙すぎることがノイズになっていて、アクションシーンの良さを打ち消すレベルだった。
各キャラのストーリーに1年引っ張れるほどのボリュームがないので引き伸ばし感が強い
色々な展開があって飽きさせない工夫はしてるんだけど、1話ごとの内容は結局のところけっこう退屈だった。
1年もかけて放送している割にはスカスカというか…
サブライダーの方々にも縦軸の個人的なドラマが用意されているのはナイスだったギーツですが、あまりにも各ライダーが持つストーリーが薄い。
例えばナーゴとかオチが初回時点で予想できるベタなやつだったのは変に奇を衒ってグダるよりいいんですけども、こいつのドラマ自体は1年かけてなんかグダグダやってるだけで残念でした。(途中そこそこ長めに描かれたキューンとの交流も最終的な解決にろくに関わってこないし)
主役であるギーツの話も後半の初っ端くらいで早々に終わってしまい、そこから新しい彼の物語を引っ張っていくドラマがとくに用意されないため延々主役が傍観者兼パワーアップアイテムみたいな扱いになってたのもいまいち。
ここは一般販売のおもちゃを売りきった終盤の余裕があるタイミングにそんなに売上に貢献しない(または商品がプレバン送り)であろうサブライダーたちの話を集中させたって感じなんですかね?
あと今倒せる敵を放置して、帰宅する様子を黙って見てるというゼロワンとかでもよくあったパターンが今作でもまたありましたね。(ベロバとかケケラとか未来人全般そんな感じ)
とにかく8月まで少ないボリュームのまま持たせようとしてる感じがしんどかったな。
ギーツって2クールだったら同じ内容でももっと楽しめたんじゃないかと思います。
常時間延びしてるわりに時間かけてやったほうがいい部分は音速で流したりするのも謎なんですよね。
例えばジャマトグランプリ開始時に無償の戦いに参加することに決めた景和とネオンとか「お前らなんか知らない間に人格面成長し過ぎじゃない?」と思ったり。
成長する前提にしても見るに堪えない不快さ・感情移入のしづらさがある登場人物たち
これは全話終わったあとでまとめて見るなら多少マシになる点だと思いますが、登場人物たちの番組開始当初の印象がマジで全員最悪なので見ていてしんどかったです。
失敗しても尻拭いしてくれるエースがいないと戦う気にならないたぬきと猫とか、「友達を参加者のせいで失ってショック受けてたら微妙な慰め方をしてきたギーツが憎くて仕方がないバッファとか。
主人公のエースも序盤はあまり前面に出ず「戦闘では強いけどとにかく感じ悪いしなんか他人に上から説教してくるヤツ」みたいなポジションなので、まったく好きになれず。
また正直メインライダーたちの願いがしょぼいので、「お前らの願いなんかどうでもいいからジャマト倒して平和だけ守ってろや」みたいな気分に前半はよくなってました。
一応1年通してメインライダー4名は成長していくし私自身もエースや道長辺りの印象はそこそこ回復したわけですが、初期状態でももう少しヒーロー的なマインドは持ってないと見ていてしんどいなと思いました。
景和の姉が敵に捕まった回でメインメンバーが全然助ける気ない辺りとか本当に酷いと思った。(自分の願いが大事にしても一応会話したりしたことあるレベルの人を普通に見捨てるんだ…みたいな)
終わってる倫理観
私が途中(1回目の試合が終わってから年明けくらいまで)ギーツから離脱していた原因が、ギーツという作品の倫理観が私と噛み合わなすぎること。
「最終的に世界リセットすれば今助けられなかったとしても問題ないじゃん」「とりあえず目的を達成できれば一般市民とか周りの人に迷惑かけてもべつにいいでしょ」的な場面が序盤から終盤まで多くて、見ていて引きました。
さっきも書いたけどヒーローって目の前で困ってる人を助けることが一番重要だと思ってるんですが、それをわりと躊躇するギーツのキャラクターたちはかなり印象悪かったです。
あと放送当時も言ったと思うけど、ギンペンのおっさんが死んだときにエースが遺族に金渡して解決みたいなオチ着けたのもほんと嫌だった。そもそも死ぬ前にギンペンのおっさんの命を助けてやれよって感じだし。
セイバーでもあったけど、大量の人が犠牲になった回で画面上では特定の人物だけ助けて解決した感出す時があったのも微妙。(木にされた人の中から景和の姉だけ救出みたいな)
そりゃ画面外で助かってるんだとは思うけどそこは描写しないとモヤッとするんだよな。
バッファがジャマトグランプリに加担して空から人間落下させるゲームとかで一般人犠牲にしまくってたのもなんかうやむやになったし…
「失敗してしまっても反省してやり直せばOK」みたいな考え方はべつにいいというかこれから人生経験を色々積んでいく子供たち向けのドラマだし基本的にはそうあってほしいとも思うんですけど、流石に人が死んだりしてる前提だと「それで終わらせるのはムシが良すぎないですか?」という気分になります。
なんか視聴者を驚かせるために必要以上に過激なことやらせちゃってバランス崩壊してる時があるんですよね。
「デザグラで死んだ人生き返らせたら不良もいっぱい生き返って治安終わったからやっぱり生き返らなかったことにしよう」というのもなかなか酷いと思う、そもそも死なないはずの人が未来人の介入のせいで死んでしまってたんだから悪人だろうが生き死にをヒーロー側が決めていじるのおかしいだろ。
主人公が最終的に神になってみんなが幸せになれる世界を作るというオチもなんかあんまりしっくり来てない。夢のためには各々が頑張ればいいからお前が神になって見守らんでもべつにいいけど…と思った。
たぬき
道長とかネオンとかエースもけっこう大概だとは思いますけど、このキャラはなんとかならなかったんですかね…。
こいつのストーリーの縦筋の流れ自体は、けっして悪くはなかったと思います。
- 大してやりたいことがなくテキトーに世界平和とか言ってる
- エースやシローに命を助けられる
- たまたまライダーに選ばれるも未熟な素人故の失敗とかを経験しつつ徐々に成長
- 心の支えである姉を失って闇落ちしてしまう
- 色々あって立ち直ってヒーローとして成長・改めて世界平和を求めるようになる
ただ闇落ちするタイミングが遅すぎるうえにその流れも「お前パンクジャックの幸せの総量とかに関する説明ちゃんと聞いてた?」みたいなかなりの強引さで、全然見ていて納得できなかった。
ジャマトグランプリやってる時期のモブさ加減やばかったし、年明け~春先くらいに闇落ち展開を終わらせておけばよかったと思うんですが。
あと「エースのおかげで姉が生き返ったから解決」という決着も最悪。こいつの根本的な人格面の問題が解決された感じがまったくないぞ。
あと1ヶ月で番組終わるから時間ないので無理矢理改心ルートに入れたみたいな感じで、強引でした。
去年の大二の「色々長官の暗躍でうまく行かないところに朱美さんが死んだのが決定打になって闇落ち→いつの間にかすべてはカゲロウを自分で倒したのが原因だったことになっててそれが復活したから精神安定」よりはマシか?酷さでは同程度な気がする。
多すぎる登場人物、複雑な世界観・ルール
「こいついる?」みたいなキャラが未来人に多い。サポーターだけで4人もいるうえで司会進行枠に
- ギロリ
- ニラム
- サマス
- チラミ
- スエル
- ジット
こんなにいる意味あるか?!
短めの登場である程度まとまってるギロリとチラミはいいとして、他のメンツはもう少し人数絞ってよかった気はする。
サマスとかドラマに関わらなさすぎていた意味が感じられないし、スエルとかジットもまとめていいだろ絶対。(最終的に実質まとまったけど)
ゲームのルールとか番組の世界観もちょっとごちゃごちゃしてて理解が面倒くさくて、私としては苦手でした。
ゲームについてはジャマトグランプリになってからはゲームがとりあえず眼の前の敵倒すだけみたいなシンプル路線になったので、だいぶ見やすくなりました。
世界観は「この願いはどこまで適用されるの?」とか、できないこととできることの境目のわかりづらさとかが微妙。
夏映画ではギーツ特有の面倒くさい世界観や登場人物の多さが極限まで絞られていて、結果異様なまでにわかりやすい内容になってましたね。
本編も夏映画みたいなノリで見たかった…!
未来人帰れよ&デザグラをやめろ
最終回は未来人が現代から撤退して後は現代の人たちが自分で頑張ろうという話になったわけですが、ジーンもキューンも余裕で現代に居座ってて全然未来人帰ってなくて笑えない。
せめて身分を捨てて現代人として生きることにしたとかならわかるんだけど、とりあえずジーンは雰囲気的に普通に行き来してますよね。お前未来で頑張っていくんじゃなかった?そんな気軽に観光に来ないでくれ。
さらには「頑張る人を応援するためにデザグラ復活させようと思います!」という衝撃発言。いや、安全とか言われても知らんしやらなくていいから帰れや。
勝手に現代に居座ってデザグラで現代人の人生を翻弄する未来人たちを倒す話なのかと思って見てたわけですが、全然そこは造り手的には問題なかったようで「あくまで悪質な運営と性格の悪い一部のオーディエンスが悪いだけで夢を叶えられるデザグラは素晴らしいものだよね」ってことになっていた。ええー?!
デザグラはあくまでTVの視聴者参加型クイズ番組とかみたいなイメージなんですかね。でも未来人が運営してたらいかに運営が善人でも時空歪めてるわけでおかしいと思うんだが。
ハッピーエンド的なムード出してたギーツ最終回だけど、勝手に怪人化するヤバい連中であるヒューマギアが謎にさらに躍進&或人がまったく立ち直れずイズの代わりを製造する地獄オチだったゼロワンに次ぐバッドエンドな気がするぞ。
怪人が少ない&序盤の画面のパッとしなさ
ゴースト辺りからずっと言ってますが、怪人少ないっすね…。
ギーツについてはついに「基本的に戦闘員がメインで怪人はほとんど出ません」というスタイルになってしまい、デザグラのルールの都合でライダーバトルがほぼなかった前半は戦闘シーンの絵面がかなりキツかったです。
相手が戦闘員じゃそりゃ勝てるだろみたいな感じで、あんまり緊張感ない戦いをダラダラやってるのがしんどかった。
後半もギーツX9VS戦闘員一匹という地獄みたいなシーンがあったりして、もう少しなんとかならんのかと思った。
あと前半は味方側も頭部以外黒一色のエントリーフォームに貧相な装備の奴らなので、なかなかに画面の地味さがすごかったな。(やってる戦闘の内容自体は序盤も色々面白い時あるんだけど画面に映ってる奴らの絵面が流石に地味すぎて盛り上がりきれなかった)
まとめ
というわけで例年通り不満もかなり多かったんですが、そうは言っても令和内では1,2を争う良さだったとは思いましたね。
なんなら令和どころかここ10年くらいの範囲内でも、実はわりと上位狙える気もします。(振り返ってみるとシナリオの出来が良かったやつってここ10年ではほとんどないように思うのでアクションの出来が良い分上位になってくるみたいな)
アクションシーンだけなら文句なしに令和1位かつ、多分シリーズのベスト3くらいにも入ってくるんじゃないかと。
夏映画見に行ったら劇場で観客の子どもたちにギーツがバカウケしていたし、とりあえずヒーローが格好良く敵と戦うという部分については今作は満点の部類だったかもしれん。(ドラマがほとんどのキングオージャーは子どもたち無言を極めていて反応悪い感じだった)
アクションが良かっただけにストーリー部分の厳しさは辛かったが…。あとアクションシーンも怪人の少なさはやっぱりかなり残念かな。
ガッチャードでは話がわかりやすく楽しい感じの気楽に見れる内容を期待したいところ。