ボブギラス氏が伝記ストーブマンの連載をしているボブギラス氏が伝記ストーブマンの連載をしているので、二次創作としてWeb小説を作ってみたぞ。
以下、本文↓
小生の名前はアイフル。
バラゴムシスと戦う正義の組織・フットの専属ジャーナリストとして日々活動している、あのバーディーとの関係については今は触れることができない。
アイフルである小生にも、昔はフットの専属ジャーナリストになりたいという夢があった。
しかしその夢も有耶無耶になり、夢を諦めて地球のサラリーマンとして生きていく日々になるんだろうな…と思っていたが現実は甘くなかった。いや、むしろ現実は想定より甘かったのかもしれない。
結局小生は、こうして宇宙ライターとして活動を初めて今に至る。
ということでせっかくだから、宇宙インターネットを駆使して世の中に知られていないヒーローたちを紹介するこのコラムで食っていくことにした。
1文字1円の破格契約である。こんな機密情報をこの金額で買い叩く出版社にはまったく頭が上がらないので靴を舐めながら執筆していくぞ。
コラム名は「フルサイズスーパーヒーローハンターチャンネル」、通称フーハーだ。
今回は小生が初めて出会ったヒーローの男を紹介しよう。
目次
ノメニエン金和尚とは?
ノメニエン金和尚とは、その名の通り金色に輝いている和尚のことである。
今までこの宇宙には様々なヒーローが存在していたが、現代を生きる和尚がヒーローというのはなかなか珍しいのではないだろうか。
バラゴムシスの陰謀が渦巻くこの時代に、彼は生きている。実は。
ノメニエン金和尚は、ある山(機密情報なので詳細は明かせない)とその周囲にある村の平和を守っているヒーローなのである。昔の地球に存在したという「ローカルヒーロー」が立ち位置としては近いのだろう。
ノメニエンってどういう意味?
そもそもノメニエンとは何か?いや、もちろん名前だと思うのだが…詳細は伝えられていない。
聞いてもはぐらかされるのだ。
私が彼に名前の由来をかつて聞いたところ、「Not many end」とのことだった。
多くない終わり…ってなんだ?
その後、リモート宴会のドサクサに紛れてまた聞いてみたところ今度は「No money earn」と説明を受けた。
金が無いを稼ぐ、とはいかなることなのだろうか。
この世の欲望の全てがそこにある
ノメニエン金和尚は和尚である。
当然ながらこの世にある欲望、煩悩からは切り離されている存在と想定される。
しかし彼は常に金色に発光しているし、基地となっている山の山頂のお寺もかつて地球の日本に存在したとされる「金閣寺」ですら比べ物にならないほどの輝きだ。夜中でもまぶしすぎて半径1kmは昼間のような明るさである。
「寺」と「村」は一般的な地球の町からは断絶されている限界集落なのだが、和尚やそこに生きる人々からは笑顔が絶えないという。
人々は常に賭博をし、酒を飲み、その他諸々もなんでもありな24時間・365日を過ごしているとされている。
かつての地球のライフスタイルとされる「飲む・打つ・買う」を、この「村」は体現しているのだ。今はバラゴムシスとフットの戦争の時代だというのに。
村民たちが働いている様子はないのだが、どこからそんな金が出てきているのか?
そう、金和尚の金和尚たる所以がここにある。
ノメニエン金和尚は自らの生み出す金を元手にして、寺と村を運営しているのだ。
ノメニエン金和尚の生い立ちとは?その過酷な生涯と栄光
私が彼から聞き出した、ノメニエン和尚の生涯をここに書き記す。
ノメニエン金和尚は生まれたときから左手が発光していた。左手が眩しすぎて全身発光しているように見えた。
それは彼の左手が黄金を生み出す力を持つためである。
彼に宿る煩悩の数だけ、黄金は生み出せるという。
しかしそもそも、彼は生まれながらにして人々に愛されていたわけではなかった。
本来は御仏に仕える身である僧侶、そこに全ての中心になり得てしまう、黄金なる存在が現れてしまったのは世の中の理に逆らっている事象なので当然といえば当然の話だ。
もちろん彼の幼少期、今から数十年前になるだろうか、周りの人々は気まぐれに黄金を生み出すノメニエン坊主を讃え崇拝した。8歳までは優雅な生活だったという。
当たり前だ。おだててやれば簡単に煩悩が生まれて黄金が生み出されていくのだから人々が大事にしないわけはない。
だが坊主自身が讃えられる状況というのは何かがおかしいという名目で、ノメニエン坊主は次第に寺では厄介者となり、やがて強制的に修行の旅に出された。
もちろん、彼は自在に黄金を生み出せるので旅費は用意されない。「身銭」を切って生きる必要があった。
しかし当時はまだバラゴムシスこそ台頭していなかったものの戦乱の世。
ゲドノイア帝国による宇宙侵略により広い地域が襲われていたため、外部の村や国の民はどこへ行っても困窮していた。
いくらノメニエン坊主が金を生み出したところで、金を使う場がないため彼は常に飢えていたという。いくら金を積んでも食料は手に入らない。
なんならこの時期は煩悩さえ浮かばないくらいには疲弊していた。次第に金も出なくなったということだ。
仕方なく彼は身体を鍛え、土木作業や探偵稼業で生計を立てつつ修行に励んだという。
なおノメニエン坊主が過酷な修行を終えてノメニエン和尚(25)になる頃には、ゲドノイア帝国は「青年」の活躍によって滅ぼされていた。
ただの和尚ではない、彼は金和尚だ。
そんな日々が続いた35の夜、ノメニエン和尚はノメニエン金和尚として覚醒した。
修行時代は世界が飢えていたため金を出すだけパワーの無駄、次第に普通に働いて暮らすようになっていたノメニエン。
寺に戻って穏やかな日々を過ごしていたところ、村にとうとう「バラゴムシス」は攻めてきた。(注釈:実は後の調査で名を騙っているだけの宇宙反社だったことがわかっているとのことだ)
かつて金を腕から出す坊主がいたという伝説は、戦乱の時代が一度終わりを迎えたタイミングで広まっていた。
その坊主が「寺」にいることを聞きつけた悪党たちは、ノメニエンの力を我が物にするべく村を制圧・寺をも襲ってきた。
先代の和尚「悶念(もんねん)」はノメニエンの修行中に鍛え上げていた僧兵たちを率いてこれと戦った。ノメニエンは前に出て万が一捕まると世界が混乱に陥るということで寺に隔離されてしまっていた。
しかし悪党たちの数は多く、いくら僧兵たちが強いといっても次第に押されていった。
1人、また一人…言ってしまえば自分のせいで犠牲者が増えていくことにノメニエン和尚はついに怒りと悲しみを爆発させ、その腕を寺にかざした。
すると寺は光り輝く「ノメニエンテンプル」となり、いかなる攻撃も弾き返す黄金の要塞に姿を変えた。
やがて「村」の民家や寄合所なども輝き出し、自称バラゴムシスたちの攻撃は全て弾き返されていった。
怖気付いて去っていく団員たちだったが、自称バラゴムシスのトップ「バラワンダー」だけは怯まずノメニエンの前へと近づき立ちはだかった。
バラワンダーを名乗る男は重い年貢に苦しんでいて、どうしても金を持ち帰らないといけなかったというのだ。
「バラワンダー」は武器のゴングを使ってノメニエンを殴打し、激しい戦いが繰り広げられた。
猛攻を避け、ノメニエン和尚の左手がバラワンダーの頭部を鷲掴みにすると、次第にバラワンダーは金色に光り輝いて軌道を弱め、やがて止めたのだった。
「あれはノメニエン和尚の必殺技に違いない」
そのように人々が衝撃の光景に驚く中、虫の息だった悶念はこう言った。
「ノメニエン和尚ではない、彼はこの世に光をもたらす金色のヒーロー、いわばノメニエン金和尚じゃ」
死に際の最後の一言で何を言ってるんだこのジジイは…、そう思いつつもノメニエンはジジイの意思を継ぎ、金和尚としてこれから寺を率いつつ村を守っていくことを決意したという。
そもそも、本当は僧兵や悶念がいなくなったら寺は俺のものになるじゃんという気持ちがノメニエンを金和尚として覚醒させるにあたって大きかったのでだいぶ罪悪感も感じたという。
昔厄介払いで過酷な修行に出されたこともそこそこノメニエンは長い間気にしていたが、それはそれである。
またバラワンダーのような悲しい身の上から非行に走ってしまう若者を出さないためにも、ノメニエンは自分が助けられる範囲の人間たちは全て豊かにして守ろうと思ったのだとか。
まとめ
村の人々を守るため、そして極力村の周辺の人々を飢えさせないために地域密着型の金和尚として戦うことを決意したノメニエン。
彼はその後自らの金の力で、村一体を豊かにしていった。
戦乱が起こって地球で金が売れなくても宇宙に行けば宇宙人が買ってくれるので、宇宙での修行がてら金を徹底的に作って売ることで資金を得た。これには10年かかったという。(留守の間は和尚の弟子のキャナリッシュ提督伯爵に頑張ってもらったらしい、彼のヒーローとしての姿とされる「猫飛与作」については今後触れるかもしれない)
やがて宇宙で稼いだ資金を使ってカジノとかのアレで村は発展し、謎の楽しいギャンブルワールドとなったのだった。(カジノは宇宙からの客からぼったくりつつ地元に還元して成り立っているのでは?という声もあるがノーコメントでお願いしたい)
ちなみにフットの派生組織から一度遣い(マッチョ鷹倉と名乗る男)が出され、ノメニエン金和尚のもとにその力を宇宙平和に役立ててほしいというスカウトが来たという。
しかし彼は要請があれば必要に応じて協力はするものの、明確なチーム入りによる活動を断った。
あくまで愛する村と寺を守るためにその力を使っている。
もしも全世界の危機が起こり村も含めて危険に晒された時は、おそらく彼も駆けつけてくれるだろう。
そんなノメニエン金和尚(ハンドルネーム:ジューシーLED照明)と、このアイフルはSNSで知り合った。
コンビニのサラダの話題で意気投合し、何度かリモート通話で話を聞いたのであった。
編集部からの言葉
この和尚と村、本当に実在するんですか…?
実在するならもっとそのカジノ村や光り輝く寺、金を出す和尚の詳細について宇宙SNSで話題になっていてもおかしくないような気がしますが。機密事項とか言って詳細をぼかしすぎでしょ。
最終的にフットとのつながりもあるみたいなオチでしたが、本当に…?
アイフル氏が自称和尚と組んで、あるいは酔っ払い老人の妄言を鵜呑みにしてデタラメを言ってるようにしか見えないんですが、大丈夫なんでしょうか…。
そもそもヒーローというよりは単なる地元の有力者の雰囲気、それもカジノとかを個人で運営している怪しい存在ですし…早くも今後が不安になりました。
さて、次回の更新は「ボノノ風雲記」についての話だそうです。
「ボノノ」というヒーローがいるだけならまだわかるんですが、風雲記って何…?付けるならノメニエン金和尚にも「漫遊記」とか何か付けても良かったのでは。とにかく待て次回!